最初に、鳥インフルエンザが猛威をふるった2022年度、養鶏農家さんからのお願いがありますので最初にご一読いただければと思います(2023年12月追記)。
鳥インフルエンザについて紹介してきました。
現在日本で行われている養鶏の飼育方法ではまず野鳥やその糞から直接ウイルスが移ることはまずありえないと言っていいと思います。
それでは何かがウイルスを鶏舎の中に運び込んできていることが考えられます。
そうした中で現在原因の一つとされていて疫学調査の結果でもその痕跡が調べられているのはネズミ類です。
しかし、同時に見落とされてきた一つの可能性としてハエ類をあげています。
クロバエについて調べれば調べるほど怪しい。
特に鳥インフルエンザが発生した鶏舎を調べた結果ネズミの痕跡が全くなかったケースも有りますし、ハエなど人の出入りと一緒に簡単に鶏舎の中に入ってこれます。
更に、彼らからすれば鶏舎の中は鶏糞などのおかげで非常に「いい匂い」になっていて誘引されることからもハエ対策は必須と言えるでしょう。
こうしたことからすぐにでもできる対策について紹介しようと思います。
鳥インフルエンザですぐにできる対策
既に養鶏農家さんたちはウイルスが鶏舎内に入らないように様々な対策をとられていると思います。
それらに加えて一点効果的と思われるのは「緑地管理」です。
長距離飛ぶ能力のあるクロバエも目的地の近くで一度休んでから対象地に侵入する習性があります。
つまり鶏舎の周りに雑草が繁茂しているとそこがちょうどよい中継地点になってハエが侵入しやすくなります。
雑草管理ではなく、緑地管理、と書いたのは理由があります。
ハエからすれば人が植えた植え込みも雑草も変わりなく、休みやすい場所であることに変わりはありません。
その為鶏舎付近に緑地がある場合はその管理を適切にすることが重要と考えます。
理想的には草丈の低く管理しやすい芝などがいいのではないでしょうか。
鶏舎の周りの緑地が良く管理されるメリットはハエだけではありません。
野生動物の多くは自らの姿がさらされるのを嫌います。
つまり、緑地が適正に管理されることでハエの中継地を無くすだけでなく、ネズミなど小動物が寄り付くリスクも低減されると考えられます。
ウインドウレス鶏舎ではあまり効果がわからないかもしれませんが、開放鶏舎ではこの周辺の緑地管理による効果がかなりあると考えられます。
それは雑草などが繁茂しすぎるとハエやネズミなど媒介する生物のリスクがあがるだけではなく、鶏舎内の風通しが悪くなります。
鶏舎内の衛生環境にダイレクトに関係してきます。
風通しが良くなれば鶏糞などの臭いも抑えられハエが飛来するリスクも減りますね。
実際に知り合いの養鶏農家のところは周辺の草管理をしっかりされていて、研究者の方が鶏舎にこられたときにこんなにハエがいない鶏舎は珍しい。
試験のためにハエを誘引する何かをおかないとダメかもしれないというほどでした。
鳥インフルエンザ対策で自治体に求めること
ハエが鶏舎の近くで羽休めしてから鶏舎に侵入する話は紹介しましたが、実はその一足飛びで入る距離というのは明らかになっていません。
推測ではありますが数メートルということはなく、100mであったり200mであったりするのではないかと言われています。
そうなると養鶏農家の敷地内だけ管理していればいいというものでもなく、周辺環境の影響も大きくなってきます。
現在自治体で沿道除草に本格的に取り組んでいるのは沖縄県くらいですが、この沖縄県の取組のように鶏舎の周辺の道路については雑草が年間通して繁茂しないように管理する。などの手法が今後求められるのではないかと考えます。
自治体で予算化して管理しているわけではありませんが、島根県の奥出雲町などは地域の人がよく草刈りをするおかげでイノシシが集落まで降りてきて畑を荒らすということはかなり稀なようです。
そういったことからも草管理を地域ぐるみで行うことは鳥インフルエンザウイルスの感染を拡大させないためにも重要であると考えます。
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