以前投稿した内容で腐植と土壌中のアルミニウムイオンが安定な複合体を作って団粒化が進むと紹介しました。
その点を少し詳しく調べていこうと思います。
そもそも腐植とはなんでしょうか?
土壌に添加された有機物(植物や動物の死骸)が微生物によって分解、最終的にすべて二酸化炭素として消滅する前に、一連の分解反応が阻害されることによって、土壌中に蓄積した難分解性の有機物が腐植である。
国際腐植物質学会で定められている定義は「腐植物質とは、土壌を水酸化ナトリウムなどのアルカリで抽出した物質、あるいは天然水でXAD樹脂に吸着し希アルカリ水溶液で溶出される物質である。この腐植物質のなかで酸により沈殿する物質をフミン酸、沈殿しない物質をフルボ酸と呼んでいる。」
難しいですね。
簡単に土壌に蓄積した有機体の炭素が「腐植」と理解してまず間違いないかと思います。
その腐植の中にも微生物などの分解者によって分解されるものと、何か別のものとひっついて安定的な状態になり分解に手間取るものがあるというイメージでいいかと思います。
腐植の役割
①分解過程で窒素などの養分を植物や微生物に供給
②分解されにくい腐植は、物理性を保ち、腐植がもつ陽イオン交換(CEC)機能によって肥料成分などのミネラル成分の保持機能。
結果として土壌のpHや養分補給、欠乏に対する緩衝作用が大きくなり、いい畑の土となる。
①の方は元々植物体だったものが分解され、植物の体を形作る元となる肥料として新たな植物に還元されていくのはイメージもつくしわかりやすい。
②の方、陽イオン交換(CEC)機能というのが聞きなれない言葉です。
陽イオン交換があれば陰イオン交換もあります。
栽培で陽イオン交換機能が取り上げられるのはミネラルはどれも陽イオンだからです。
植物の緑色の元となる葉緑素、これはマグネシウム(Mg)が欠かせません。
苦土石灰を栽培前にまく人も多いと思いますが苦土石灰にマグネシウムは入っています。
マグネシウムは陽イオンです、他にもカルシウムやカリウム、銅なども栽培に欠かせませんがどれも陽イオンです。
腐植が陽イオン交換機能を持つと紹介しましたが、腐植は陽イオンを自分自身に引き寄せ、水で流れてしまうのを防ぐわけです。
苦土石灰を同じ量まいても雨ですっかり流されてしまう土と、植物に使える状態で残る土とがあるのはこの陽イオン交換機能の有無です。
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