先日伺ったティーサロンのオーナーが私は和紅茶って言わないんです。
〇〇(産地名)紅茶、と言っています。
と言われていました。
和紅茶って?
和紅茶の明確な定義は今のところないものの、日本で作られた紅茶のことを和紅茶としているケースが主流です。
いわゆる国産紅茶のことを多くの場合和紅茶と呼んでいます。
和食・和服、「和〇」を考える
そのティーサロンのオーナーは和〇〇といった場合、和食や和服といったように様式(スタイル)のことを言い、例えばアメリカの衣料品メーカーが着物を作ればそれは和服であり、フランスのレストランが提供する例えば下の写真のような料理は和食といえるでしょう。
和食も和服も国に寄らずどの国で供されても和食は和食、和服は和服なのです。
そう考えると国産紅茶のことを和紅茶というのはしっくりきません。
このように一般的に和〇と言われているものの意味から考えると、国語専攻だったティーサロンのオーナーは国産紅茶のことを和紅茶ということに疑問を持ったと言われていました。
和紅茶の定義
和紅茶の定義ですが、日本茶(緑茶)品種を紅茶に加工したものを和紅茶というのが良いように思います。
日本茶は大陸から茶の木が伝わりますが、これは中国種、いわば緑茶用の品種です。
この緑茶用の品種を日本の風土、そして日本人に合うように渋みを抑えてうま味をより感じるように先人たちが品種改良をしてきた日本ならではの品種です。
この日本茶緑茶品種を原料に紅茶を製造すると渋みがほとんどなく、うま味を感じる紅茶になります。
紅茶は渋みもその重要な味わいの一つですが、日本茶の茶葉を原料にすることで渋みがほとんどないうま味のある全く海外の「紅茶」と違う紅茶になります。
「和」とは和むの意味もあり、まさに渋みがない紅茶にネーミング的にも合います。
日本には紅茶に合う品種として紅茶用の品種をベースにした「べにふうき」や「べにまさり」などもあり、こういった紅茶用に日本で開発された品種を使うと紅茶特有の渋みをもつしっかりした味わいの紅茶になります。
日本茶品種を原料にした紅茶は日本で開発されたとはいえ紅茶用の品種を使った紅茶とは全く異なる味わいになるのに両方「和紅茶」と言ってしまうと混乱の原因にもなりかねません。
日本茶品種で作った「和紅茶」も「紅茶」であり、渋みが苦手で紅茶が飲めない人の中には渋みのない「和紅茶」なら飲めるという人も多くいます。
海外の方が渋みのない新しいジャンルの紅茶「和紅茶」に目を付けを製造しようとしたら日本の品種を作るしかありません。
日本茶の品種の、そして日本の生産技術の輸出といったチャンスにも繋がります。