中古車販売大手のビッグモーターの一連の事件で店舗前の街路樹を除草剤で枯らせてしまったというものがあります。
車を展示販売する会社として街路樹が邪魔だったというところでしょうが、何かのニュースで社内規定で雑草が1センチでも店舗や店舗前の歩道に生えていたらNGだというものを目にしました。
道路の植樹帯などはそもそも街路樹など植えられているのでその中の雑草を一つ一つ見つけて抜くのは大変だからそれだったら枯らせてしまえ、というものなのでしょうが・・・
勝手に公共緑地に除草剤をまいて枯らすなど言語道断ですね。
しかし、雑草ゼロとはいわないまでも良好な景観が維持できていればこんな事態は起きなかったのではないでしょうか?
ふと道路周りの景観を見てみるとこのようにひどい地域もよく目にします。
そもそも道路周辺で街路樹など植樹帯をよく目にしますがそれらは「道路緑化帯」と言われています。
これについては国土交通省が道路緑化技術基準というものを定めているのですが、そもそもその基準が守られている例自体あまり目にしたことがありません。
道路緑化にあたっては、道路交通機能の確保を前提にしつつ、美しい景観形成、沿道環境の保全、道路利用者の快適性の確保等、当該緑化に求められる機能を総合的に発揮させ、もって、道路空間や地域の価値向上に資するよう努めるとともに、交通の安全、適切な維持管理及び周辺環境との調和に留意しなければならない。(国土交通省の道路緑化技術基準より)
そんな中沖縄県は独自の取組で頑張っていますね。
おそらく道路緑化技術基準にある適切な維持管理を実行しようとすると現在の管理方法では不十分で沖縄県が採用している「性能規定方式」に切り替える必要があると考えます。
今回ビッグモーターは公共物である街路樹に除草剤をまき枯らせてしまったことが問題となっていますが、例えば街路樹が適正に剪定されておらず、また、緑化帯に雑草が過繁茂したせいで売上が落ちているとなればどうでしょう。
これは証明が難しいですが、例えばこちらの例は地方自治体のものではなく私有地ですが、雑草が繁茂していた場所をよけようとして車道にはみ出したときに車両と接触したという事故が起きた場合はどうでしょう?
海外などでは雑草は人類の敵でしっかりと緑地は人の手で管理するものという認識がスタンダードです。
米軍基地は予算が積まれているからきれいに管理できているのは頷けるというご意見をいただきましたが、日本はあまりに雑草に無頓着すぎます。
その際たる例が雑草の種子が混入したことで輸出のコンテナが止められた事案。
これについて農業関係者ですら知っている人はほとんどいないと思います。
北米向け工業製品に付着する雑草種子について(植物防疫所HP)
ウイルス、病気を媒介する動物たちと同様、雑草もその国の人や生活を脅かす脅威の一つとして認識されていて水際で阻止するのが当たり前の考え方です。
今は非常に便利なので〇〇国際空港などと検索してストリートビューで見てみれば一目瞭然。
もう一つ海外では雑草が繁茂していることで近隣住民がその土地を管理している企業を訴えて賠償金を支払ってもらったという事例もあります。
日本ほど雑草にまみれた空港や港がある国はかなり稀でしょう。
このビッグモーターの件は許される事案ではありませんが雑草管理に対して社会の目が向けられることを期待します。
弊社では沖縄県が取り組んでいる性能規定方式による雑草管理について県や事業者へのヒアリング調査を実施しています。
他の自治体さんなどで検討される場合がお気軽にお問合せください。
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