河川氾濫はなぜ起きるのか?

近年記録的豪雨が毎年のように日本のどこかを襲っています。

河川が氾濫することで多くの方が被災していることを毎年のように見ていますが「〇〇年に一度の豪雨」という言葉で、河川が氾濫するのは仕方ない。そう思っていませんか?


河川氾濫の原因の一つに堤防の雑草問題が!

先日の雑草インストラクター養成講座で河川の堤防の管理作業に関わる方も受講されていました。

河川の堤防は何かと目にする機会が多いかと思いますが、こちらの画像をみてどう感じますか?


(提供:公益財団法人河川財団)

この画像を見て「危ない!」と思った方いらっしゃいますか?

堤防の一番の役目は河川を氾濫させないこと。

堤防は10年に1度しかないかもしれない河川増水時に備えて日ごろからそこに在るものです。それ故メンテナンスは非常に大事です。

異常はまず目視確認からですが、これだけ雑草が生い茂っていると異常個所の判別ができません

また、雑草が育つとそれだけそこに腐植がたまります。腐植は土を豊かにしますが、畑をされている方はご存知かと思いますが、腐植が豊かにある土は柔らかくなります

それでは増水時に流れてしまい堤防が細ってしまいます。

さらに、腐植豊かな土はミミズが好み、モグラがきます。モグラの穴があると堤防の強度はかなり落ちてしまいます

最後に植生の問題があります。

20~30年前は堤防は割ときれいに整備され、常に低く刈り取りが行われていました。

こうすることで根が浅いところにマット状に広がる芝が優占種となり堤防の強度が保たれていたのです。

それが除草剤が禁止(自主規制)され、野焼きも禁止(こちらも自主規制)されて大型雑草が入り込み芝が消えていきました。

さらには予算の削減で年に4~6回刈り取りが行われていたのが多くて年に1~2回に。

こうなることで大型雑草が繁茂し堤防の強度が落ちてきたそうです。

堤防の草刈りの作業はクレームがなければ基本的には徐々に予算が少なくなり、クレームが多いところは予算が多少キープされ多いところでは3回刈り取りができているところもあるようです。


まとめ

堤防の強度と雑草の関係、雑草が繁茂すると・・・

1.雑草の繁茂による異常個所の見落としに繋がる。

2.雑草による腐植の堆積から軟弱化し強度が落ちる。

3.土が富栄養化しミミズが沸くことでそれを餌とするモグラの穴ができ強度が落ちる。

4.根がマット状に密に広がる芝と異なり、多くの雑草は引き抜き力が芝に劣り堤防の強度を落としている。

※全て芝がいいというわけではなく、環境次第ではコンクリートなどの方が良い箇所もあります。

特に4.の芝が維持されるような管理をすることで1.~3.はどれも解決されます。

国民からのクレームがないからと予算が削られてきた結果、堤防は脆弱となっており、近年続く豪雨がきっかけとなり河川氾濫に繋がっている面は否めません。

何より堤防が適正に管理されることで景観がよくなり、普段の増水していない河川は憩いの場としても活用されるのではないでしょうか。