近年頻発する豪雨被害について、少し違った角度から今回は考えてみようと思います。
豪雨による被害は平地では道路の冠水や河川の氾濫被害がありますが、上流では土砂災害などが発生しています。
特に山林に近い集落では土砂崩れが発生すれば民家などが巻き込まれ重大な被害をもたらします。
この土砂崩れ、開発工事などでできた崖が崩れるものもありますが、山の斜面がそのまま崩れるものもあります。
開発工事などでできた崖は見るからに危険で、大雨の際などは注意をすることになるでしょうが、林となっているところが崩れるイメージを持っている方は少ないのではないでしょうか?
林がなぜ崩れるのか、どういったところが危ないのかを考察していこうと思います。
近いところでは2017年7月5日に発生した平成29年7月九州北部豪雨では河川が氾濫し、複数個所で土砂崩れが発生しています。
土砂崩れ・河川の氾濫で目に留まるのは、土砂で表面が剥がれ落ちた丸太状になったスギの木です。
なぜこんなにもスギの木が多いのか
日本は実に国土の3分の2が森林となっており、そのうち人工林が40%を占めています。
さらにその人工林のうち約7割がスギ・ヒノキとなっています。
単純に森林のうちスギの割合が高いからかもしれませんが、スギだから崩れた、と考えることもできます。
スギについて詳しく調べていきます。
スギの形状、ものすごく簡単ですがこのような形になっている木が多いと思います。
樹冠は雨を受けやすい形状になっています。
樹幹から吸収された雨水は樹幹を通り大地に流れていきますが、この樹幹流と言われる液体がスギではpH3前後の非常に強い酸性を示します。
事実樹幹近傍の土壌ではpHが極端に低いという調査結果もあり、スギの木が土壌pHを下げている一因にもなっていると考えられます。
pHが下がればどのようなことが土壌に起きるかと言えば、アルミニウムイオンが土壌中に溶けだします。
アルミニウムイオンは植物の根の成長の妨げになるため土の中にしっかりと根がはる環境ではなくなっていきます。
そのような斜面に大雨が降り注げば表土が崩れおちる原因にもなるかもしれません。
そこにつる性植物がからまっていればさらに危険性は高くなるでしょう。
※実際にはスギの木は林齢を重ねるとカルシウムイオンなど陽イオンが蓄積して土壌pHが上がるという報告もあり現状土砂災害の原因になっているか定かではありませんが、その辺りももっと注目が浴びられるようになり研究予算がでるようになれば進む分野ではないかなと思います。
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