高校世界史の授業を受けてきました

二十何年かぶりに高校世界史の授業を受けてきました。

卒業生向けの授業と聞いて参加しました。

中高一貫の英才教育 佐賀・葉隠の里に 弘学館

さて、授業の内容ですが世界史。一見すると農業といえば生物化学では?!と思う方もいらっしゃるかと思いますが、今の問題を見直すには過去を振り返る必要があります。

今生育がいい(悪い)のは過去どのような施肥をしてきたからか?もっというと、その土地は過去どんな遍歴をもっているのか?前使っていた人、もっと前は土になる前の岩石は何だったのか?

日本シームレス地質図

講義の中で「歴史とはある種の問題意識に対して選択され構成されたものが歴史」

私たちはどこにいこうとしているのか?未来を見据えたときに、なぜ私たちは此処にいるのか?そしてそれは過去どうあったからか?

講義は東京大学の今年の入試問題をベースに進められたのですが、出題者の意図、つまり(東京大学の先生という)歴史家がもった問題意識と同じ問題意識を持ち過去の事象を説明しなさい。

というのが問題になっていたわけです。


今回ベースになった問題は

「1989年(平成元年)の冷戦終結宣言からおよそ30年が経過した。冷戦の終結は、それまでの東西対立による政治的・軍事的緊張の緩和をもたらし、世界はより平和で安全になるかに思われたが、実際にはこの間地球上の各地で様々な政治的混乱や対立、紛争、内戦が生じた。とりわけ、かつてのオスマン帝国の支配領域はいくつかの大きな紛争を経験し今日に至るが、それらの歴史的起源は、多くの場合、オスマン帝国がヨーロッパ列強の影響を受けて動揺した時代にまでさかのぼることができる。

以上のことを踏まえ、18世紀半ばから1920年代までのオスマン帝国の解体過程について、帝国内の民族運動や帝国の維持を目指す動きに注目しつつ、記述しなさい。回答は22行以内で記し、必ず次の8つの語句を一度は用いて、その語句に下線を付しなさい。 アフガーニー・セーブル条約・ミドハト憲法・ギュハネ勅令・日露戦争・ロンドン会議(1830)・サウード家・フサイン=マクマホン協定(東京大学2019年入試問題 第一問)」


近年問題になっている中東情勢。どういう方向に進む可能性があるのか。各国の思惑はどうなのか。日本のとる選択肢は何があるのか。といったことを過去の事象に目を向け考えようとした。その過去の事象を説明しなさい。という感じでしょうか。

こうして改めて世界史の教科書を見て、講義を受けると本当に「今」に繋がっていると感じることができましたし、過去に遡ることの重要性がわかりました。

農業と関係ない?!そんなことはありません。

講義が始まるまでに流れていた動画が第一次世界大戦前後の話だったのですが、農家をしている方で窒素肥料のお世話にならなかったという人はほとんどいらっしゃらないと思います。

フリッツ・ハーバー、空気中の窒素からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法で知られています。

彼のこの発明のおかげで現在世界中の農業がこれだけ栄えていると言ってもいいでしょう。

化学肥料が生まれ、農業生産の効率が増し、産地が集約し、流通が発達、流通に耐える品種改良から、産地集約による家族構成の変動こういった流れも歴史といえば歴史です。

(授業の最後に卒業生から話を、ということでしたので上記内容含めて少しお話しさせていただきました)

(※写真については授業の中でHPやFacebook上にアップしても問題ないということでしたので後ろ姿ですし掲載させていただいております)

農業の分野においてもその時代時代にきっかけとなるものが農業外にも多くあり、史を学ぶのは非常に有意義な時間だったと思います。

受験に備える勉強とはいえ、高校の教科書はよくできていますし、その授業を受けるのはかなり勉強になりました。

私の立場としては願わくば生物や化学も同じように学ぶ場があると嬉しいなと感じた次第です。

 

最後に在学中は何とも思いませんでしたが窓の外のこの風景はいいですね。