シリーズで紹介してきた土の話はいったん今回で終わりです。
前回の土壌の大切さに気が付き、土壌保護局まで設立したアメリカ。
裸地にしない不耕起栽培にむかっていくことを紹介しました。
従来の農業では環境負荷が大きく、ダストストームとして自然が牙をむいてきたのです。
それを防ぎながら農業の生産性をあげなければ人口増加に、そして産業の発達は望めません。
そこで常に表土上に植物がある状態にしながら農業をする方法をアメリカは模索し始めます。
野菜の種をまくときは雑草が表土を覆い、野菜の芽が出始めたときはなくなってほしい。
除草剤で枯れない遺伝子組み換え作物の誕生です。
遺伝子組み換え作物自体がいいとか悪いということを取り上げたいのではありません。
国家レベル、さらには世界レベルで見た際に今まで通りの農業をしていたのでは人口増加を受け止めるだけの食糧を生産できない、あるいはしたところで自然が牙をむく、ダストストームで発生した砂嵐の影響は大西洋を越えたという記録もあります。
そこで食糧増産と自然を保護するというトレードオフにある関係を解消し得る一つの「技術」が遺伝子組み換え作物だったのです。
研究者や専門家でないと歴史の流れや背景は知らされず、出てきた結果だけを知ることになります。
故に遺伝子組み換え作物が良い悪いという個別の議論になってしまいがちで、その方が盛り上がるといろんなところで取り上げられ、意見も様々出てきてそもそもの問題が見えにくくなります。
さらにもう一つ上の視点でどんな関わり合いの中で生まれてきたものかも知り、考えることで代替技術のヒントが得られるかもしれません。