昨日はヨモギが不用意な刈り取りではかえって株数が増えてしまうということをご紹介しました。
今回はヨモギの特性に従って彼らを刈り取りで防除するにはどうすればいいかをご紹介します。
ヨモギは地下に栄養を貯える植物で、春から夏にかけては地上部が目につきますが、冬場はロゼット状態で越冬し春先に地下の栄養を利用しスタートダッシュをかけ他の植物より早く上に生長していきます。
強害雑草の多くは地上部ではなく地下部に厄介なエネルギータンクがあるといっていいでしょう。
ヨモギに関してはデータがありましたのでこちらをご覧ください。
季節ごとの地上部と地下部、生体重の比較です(NPO法人緑地雑草科学研究所 草と緑より)。
地上部よりも地下部の方が明らかにボリュームがあることが見て取れます。
地下を栄養源とする雑草を地上部だけみて対策しても無意味だということです。
たとえば地上部が茂ってきたと思われる7月時。
赤線より上のところくらいが茂ってきて目立つので刈り取りをしようと考えた際、11月過ぎて刈り取りをしてもほとんど意味がありません。
落葉樹と同じで、冬季は気温日照ともに足りないことから光合成の効率が落ちる為、ヨモギも地上部を枯らせていきます。
それは9月26日を境に地上部の生体重が落ちて行っていることからも明らかです。
その流れを見ずに生体重が落ちて行っている最中に刈り取ったところで植物が枯れようとしている手助けをしているに過ぎず、翌年はより地下に栄養をためた状態でスタートできるため除草が困難となります。
ヨモギのように地下に栄養をため込む雑草の対策はいかに地下に栄養を貯めさせないか、が重要です。
理想的には薬剤で処理するのが低コストで環境負荷も大きくないのですが、場所によって薬剤散布ができないところも多くあります。
そういった場合は地下に栄養をため込む前7月中旬から遅くとも10月中旬くらいまでに刈り取りを複数回行うことで地下部の栄養を使い地上部を伸ばそうとするので徐々に群落は減少していくと考えられます。
今回のこの貴重なデータはNPO緑地雑草科学研究所の会報「緑と草」から得ています。
賛助会員は1口1万円、個人会員は3千円払えば雑草の最先端の知識のデータベースにアクセスできる上、毎年アップデートされる会報の最新号がお手元に。
このNPOは公的な補助金を一切もらわず、委託研究費と会員費だけから成立している為完全中立。
さらに農業機械メーカー・除草剤メーカー・防草シートメーカー各社、雑草科学の教授、農研機構の研究者、現場で作業する造園業者など幅広い業種の方が雑草について学ぶ場です。
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