最近はあまり聞かなくなってきましたが、虫食いされた野菜は無農薬の証だから安心して食べてください。なんてこと聞いたことありませんか?
虫がついてる野菜は農薬をまかれてない証拠とかいいますが、実際農薬は家庭で使うような強力な殺虫剤ではないので、農薬をまいたからと虫がつかなくなるわけではありません。
奇妙なもので、家の中に虫がでて殺虫剤をかけてすぐに死ななかったら文句を言う人がいますが、畑で農産物についた虫に農薬をかけてすぐにその虫が死ぬと気持ち悪がる。
畑で使われる農薬は人体への影響、環境への影響、農産物への影響をかなり詳しく調べられます。
どれくらいかというと、薬剤一つ作るのに数億円コストがかかりますし、その試験データは膨大なものです。
虫がちょっとかかったくらいで死んでしまうような家庭用殺虫剤の近くに農産物があったら、ほぼ間違いなく残留農薬検査でひっかかるでしょう。
話が大幅に逸れましたが・・
虫に食われた野菜、安全かどうかはとりあえず置いておいて、栄養価の面ではどうでしょうか?
昨日は虫に食われるのが嫌でカラシ成分を生成するアブラナ科の話題を取り上げました。
アブラナ科植物と昆虫の戦いと進化、コンパニオンプランツとしてのアブラナ科
アブラナ科の植物は虫に食害されると天然の殺虫剤でもある「グルコシノレート」を生成します。
アオムシなどはそのグルコシノレートを体内に高濃度で蓄えることから外敵に食べられないように身を守ると紹介しましたが、このグルコシノレートは虫に食害されるとより「作られる」のです。
虫が嫌がる物質をわざわざ作る、わけですが、どうやって作るかというと光合成で自分が生長する為に使うはずだったエネルギーを殺虫成分に流用するわけです。
こういったことから、虫に食われず健康に育った野菜と虫に食べられてしまった野菜、どちらが栄養価が高いかというと(光合成産物が多く含まれているか)虫に食べられてない方が良いのは明らかですね。
実は虫に食べられた方がいいというものもありますが、それはまた別の機会に紹介します。