戦後のマラリア対策から考える

あまり知られていませんが、日本は世界でも有数のマラリア汚染国でした。

第二次世界大戦後に日本に進駐してきたGHQはこのマラリアを脅威と考えその対策を始めます。

マラリアは蚊が媒介する感染症として知られていることから殺虫剤で対策をしようとした?

日本中にDDTをまいたという人もいますが、正確には違います。

日本では何か問題が起きるとすぐにツールを使って直接的に解消しようとする傾向があります。

最初にGHQが行ったのはマラリアを媒介する蚊はどこからくるのかを突き止めたことです。

河川や湖畔に茂る雑草が主な原因と突き止め、特に汚染のひどかった琵琶湖は徹底した葦狩りを行い、発生源を潰したのちにDDTをまいて殺していったのです。

日本では雑草管理が適正に行われていなかった(今も日本は世界で最も雑草管理が遅れている国だと考えます)ことが最大の原因でしょう。

ツールを使って直接的に解消しようという考えは結果管理というものです。

日本は目的と手段、原因と結果。これが混ざってしまっているように感じます。

雑草問題でいうなら、雑草が繁茂して非常に鬱陶しい!刈り取ってしまえ(薬剤散布だ!)。

雑草が繁茂し、何らかの問題が起きてしまった、という「結果」から刈り取りや薬剤という「手段」に飛びます。

本来であれば、その結果(どの草種が何の問題を起こしているのか)の原因(なぜその草種が増えたのか)は何かを考え、どういう状態にするとよいのか目的を設定し、手段を講じる

こうあるべきで、そうでなければ問題は解決されず再発します。

ツールはあくまでツール。

殺虫剤は虫を殺す、除草剤は草を除く、草刈り機は草を刈り取る。

※草刈り機と除草剤を並べて評価する人が多いですが、そもそもツールとしてもっている役割が異なることを認識しましょう。

それを使用する人がなぜその作業を行い、何のために、どの状態をゴールとするのか、これを考えなければ課題は解決せず場当たり的な管理になってしまいます。

雑草管理で大事なこと、今度の九州アグロ・イノベーションのセミナーではこの結果管理では何も解決せず、雑草と向き合い付き合っていくためのやり方考え方をお話ししようと思います。

なお、日本が結果管理になってしまったこと。

ウイルスを始め、害虫、雑草などいわゆる「敵」に対する考え方が諸外国と異なる理由については日本の「農」の歴史が関係していると考えています。

その辺りについてはまた後日ふれようと思います。