今こそ国民皆農

緊急事態宣言が出ました。

国内流通は生きてますが、このような情勢で、輸出入が困難になってくると食糧問題が必ず発生します。

実際にフランスやイタリア・アメリカの友人からは家庭菜園をしていた方がいいと連絡がありました。

家庭菜園も可能であればした方がいいと思いますが、何も自分で作るだけが農業ではありません。

今こそ皆が農業に関わる時期かなと思います。

コロナウイルスがきっかけで農業に目が向けられるつつあるので日本の農業が抱える問題について多くの人に知ってもらいたいと考えまとめました。


2,700万人もの人を養える農地が放棄地に

日本には28万haもの耕作放棄地があります(令和元年・農林水産省)。

お米で例えるならば2,700万人分もの消費を支えることができます(生産533kg/反・消費54,4kg/年・人(令和元年・農水省))。

※あくまで参考値です、実際に山間部などではそんなにとれません。

それらの多くは経営的に見放されるべく見放された土地です。

手がかからず、良い農産物が取れるところは担い手が継いでいきます。

水場が遠い、山間部との境界で獣害に遭う、河川の氾濫の影響を受けやすい、など様々な条件不利地で生産活動をしないのは経営上当たり前です。

よく耕作放棄地がたくさんあるから農業を、というのを目にしますが、多くの場合うまくいかない理由はこういったことが背景としてあります。

農業のことを農産物を買ってくれる消費者が真に理解しないとこの放棄地の問題は解消しません。


消費者と生産者の溝

大根一つ・キャベツ一つとっても工業生産物と違って原価が異なるのが農業。

耕作放棄地が見放された理由からも同じ農産物でも作る手間が全く異なるということはわかるかと思います。

昭和中期くらいまでの農業は多くの人が農業に携わり「親戚の中には誰か農家がいた」そんな時代があります。

その後圃場整備が進み、一軒辺りの経営面積が増え機械化と共に高効率化が進めば農業従事者が減り、工業やサービス業を始め他の産業に携わるようになり、高度経済成長と共に一般消費者と農業生産者の間に溝ができ始めます。

さらに、流通事業者の努力のおかげで日本では一年通して、農産物が手に入り、価格の変動が少なくなりました。

消費者と生産者の間にいる事業者の苦労の結果ですが、それは同時に生産現場に馴染みのない今の消費者にとって農産物は工業生産物と同じような意識になってしまったのです。


年金ブースト農家の存在

産地に近い直売所には安い農産物が並んでいます。

直売所に出している農家は自分で値段をつけているのだからそれが再生産可能価格ではないかというとそれは違います。

全てとはいいませんが、直売所で安価な値段で農産物が売られているのは産地が近く流通コストがかかってないからという理由よりも、出荷者がプロ農家ではないという理由の方が大きいように思います。

プロではない農家とは何かというと、農産物を売ったお金だけを収益源としていない方。

もっといえば、年金をもらいながら作っている高齢者が多いように思います。

個人的にこういった農家の事を年金ブースト農家と言ってます。

同じ売り場に並べられれば当然安い方から売れていきます。

安くても年金ブースト農家は決して手を抜いて育てているわけではない為その農産物もきれいで美味しいものであることがほとんどです。

そうすれば年金ブースト農家の農産物が売れていき、次代を担うはずのプロ農家の農産物が追いやられていってしまいます。

消費者の方にはこういった図式も知ってもらった上で、次代を担うプロ農家の方の農産物を買っていただきたいです。


これからの農業を考える

今まで日本は「自給率は低いが飢えない」そう考えられていました。

それは食糧生産国で飢餓問題が起きている世界情勢を見ればわかります。

例え自国民が飢えていても高い値段を出してくれるところに売るという国際図式があるからです。

今回のコロナウイルスは伝染病で国境など関係なく広がっていきます。

収束させるためには人もモノの流れも区域内で止めるしかないわけです。

このような情勢ではとても輸出入などできませんので日本も決して飢えと関係ないとはいえなくなりました。

食べ物が当たり前にあり、飢えと無関係な生活をしているから気が付きませんが、まさに死活問題と直結している農業。

繰り返しになりますが生産現場の事を知り、農産物を適正な価格で買うことが重要だと考えています。

それだけでも日本の農業が抱える多くの問題が解決すると考えています。


最後に

緊急事態宣言が出され、感染防止に三つの密、「密集」「密閉」「密接」を避けてくださいとのこと。

農業の生産の現場となる畑はそれら三つの密の反対のいわば三つの疎。

三つの疎が有る畑作業はまさに「有三疎運動」です。

濃厚接触はダメですが、畑で土を触る「農耕接触」、畑で食べるご飯「農耕摂食」は免疫力を高め感染リスクを下げてくれます。

その地に適した農産物が、適正な価格で売れるようになれば、日本の農業はよりよくなります。

農業を知るにも、コロナが収束したら「農耕接触」「農耕摂食」「有三疎運動」で健康に、農業と関わりを皆が持てるといいですね。

1 comment on “今こそ国民皆農”

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