先日伺った農家さんの圃場の土を触ると学校のグラウンドのように硬かった。
こんなところで作物が育つのか?そもそもスコップでも掘れるのか不安になるほどの硬さだった。
トラクターを入れれば一応耕せるものの、潅水して乾けばまた元通りになるようだ。
裸地の表面流水率は50%と言われるが、こんなに硬く締まった表土はほぼすべての水を流してしまうのではなかろうか。
そんな場所でも最高に美味しい野菜を栽培できているのはひとえに農家の追肥の腕にあると考える。
本来土は植物を支えるだけでなく、様々なミネラルをはじめとした肥料分、水分を蓄え、過剰な時は流し、少ない時は蓄えた分から植物に供給してくれる緩衝材にもなる。
それらが機能していないこの土はタイミングよく追肥で与えられるもので生長しているとしか考えられない。
そんな土で農業を始めた彼は、畝を教科書通り作ったものの全くうまくいかず、すぐに水切れになってしまった経験から今では畝を作らない。
水を貯えず、表面を流れ落ち、わずかながら水を吸った土の水を少しでも逃がさぬようマルチはするが、うねは作らない。
栽培終盤のため葉かき後の葉が落ちていますが、ここの圃場のナスは本当に美味しい。
栽培の教科書にナスは畝の高さは何センチ、株間何センチ、と紹介していることもよくあるが、土質によってそれらは変えた方がよいといういい見本となる圃場だ。