タキイ最前線2026春種特集号にトマトの黄変果について掲載されていた(17頁~)。
トマトの赤色はよく知られたリコピンという色素によるが、そのリコピンが生成されるのはおよそ20~25℃くらいが適しているとのこと。
岐阜県の飛騨高山の例で10年ほど前まで夏でも夜温が20℃以下、昼間は30℃程度だったようでリコピン生成にちょうどよい気温だったが、今では日中35℃を超える日もあるようで温暖化が進んでいる。
従来の品種、従来の育て方では気温が高すぎることからリコピンが正常に生成されず、赤になりきれない着色不良のトマトができやすい環境になっているというのがわかる。
改めて、リコピンの生成や着色不良について調べてみると野菜茶業研究所の研究報告で「トマト果実着色不良の発生要因と対策方法に関する研究」というのを見つけた。
タキイ最前線でも紹介されていたが、この着色不良、色がつかなかったところは色味のマイナスだけでなく、少し硬さも硬くなる傾向にあり市場価値を下げてしまうことから農家からすると大問題である。
そこでどのような原因で着色不良が起きていて、どうすれば防げるかという点をこちらの論文では研究されていた。
まずリコピンの生成については12℃以下もしくは32℃以上で抑制されるとされていて、直射日光があたるところなどは果実の表面温度があがり着色不良になる旨を紹介。
かわって、そういった部位ではリコピンは少ないもののβカロテン・ルテイン量が多い傾向も同時に示された。
βカロテンが多い点については栃木県農政部の資料でβカロテンの生成適温が30℃、生成温度帯が8~36℃とされていたことから、リコピンの生成温度12~32℃(適温20~25℃)よりも幅広く高温でも生成されるβカロテンが結果多いことになったのだろう。
今後温暖化が進む中で着色不良の対策としてはリコピン含有量の多い品種を選んだり、高温着色性の品種を選んだりすることに加え、生育環境でハウスであれば遮光剤の利用も有効だと考えられる。
仕立て方も葉の位置を調整して果実に直射日光があたらないように誘引するなども有効かもしれない。
