先日タキイ種苗さんの圃場で行われた研修会に参加してきた。
圃場の野菜たちの状態の良さは流石、この日から数日前にお得意様向け(種苗店や農家)の見学会があったとばかりということもあり本当にきれいでした。
さてその研修で菜園ナビのユーザーが、セミナー講師の藤目先生が書かれた本にウリ科の作物を栽培するときにウリハムシ対策にはつか大根が有効とあるがなぜはつか大根がいいのか?!という質問をされました。
これについてタキイの技師の方からアブラナ科の植物に含まれる「グルコシノレート」が効いているのではないか?
はつか大根に限らずアブラナ科と混植することでウリハムシの被害を抑えられる可能性はあります。と回答が得られました。
アブラナ科特有のカラシ成分は「グルコシノレート」と言われます。
※グルコシノレート(辛子油配糖体)は細胞が食害を受けるなどして破壊されると、同じ細胞内にあるミロシナーゼと混ざることで加水分解され,イソチオシアネート(辛子油)に変化します。
このグルコシノレートは害虫や病害から身を守るために獲得してきた形質と思われますが、冬から春にかけてはアブラナ科の野菜がほとんどなくらいヒトに好んで食され品種改良もされてきました。
身を守るために獲得した形質のせいで良く食べられるようになるとは何ともいいようがないですね。
これがヒトだけでなく虫にとっても同じような進化をしたものがあります。
それがモンシロチョウなどですね。
キャベツや白菜、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜にはよくモンシロチョウがたかっています・・余談ですが、家庭菜園を始めてからチョウ類全般(アゲハの幼虫は柑橘の葉をものすごく食べますし)が嫌いになりました。
これは多くの昆虫がこのグルコシノレートを忌避する(天然の殺虫剤です)ため、成虫であるモンシロチョウは幼虫が天敵に捕食されにくいように忌避効果のあるアブラナ科の植物を見分け卵を産み付けます。
モンシロチョウの幼虫はこのグルコシノレートを無毒化することができるため他の種の昆虫と競わずに生長することができるだけでなく、食害を加えていくとアブラナ科の植物は身を守ろうとよりこのグルコシノレートを生成し始めます。
そうすればより濃くモンシロチョウの体内にグルコシノレートが貯まります。
こうすることで多くの昆虫に殺虫成分として効くグルコシノレート高濃度で蓄えたアオムシが出来上がり、より天敵に捕食されにくくなるわけですね。
身を守るために獲得した形質がこのように捕食者に特異的に作用するのは何とも皮肉なことですね。
ということで、おそらくですがこのようにアブラナ科の植物と他の科の植物を混植することで害虫忌避の効果はある程度期待できそうですね。
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