草生栽培の歴史

草生栽培とはその字のままですが、草を生かして(活かして)栽培する手法です。

これの反意語に清耕栽培というものがあり、清耕栽培では草刈りや除草剤、耕うんなどによって雑草がない状態を保持して栽培する手法です。

除草剤使用のミカン園

この草生栽培ですが日本では果樹栽培において始まったと考えられています。

1931年に青森県リンゴ試験場で肥料試験の中で草生区が設けられたのが始まりのようですね。

現在では草生栽培はミカン園で取り入れられることが多くありますが、当時のミカン園では敷草、つまり刈った後の草を園地に敷く方法が主流だったようです。

その後この敷き藁を敷く方法については敷き藁自体が入手が難しくなってきたことで廃れていきました。

昭和33年に発行されている「正しい土壌管理と施肥の狙い」という書の中には既にヘアリーベッチやナギナタガヤがすでに登場しているようで、これは戦時中肥料不足の時に肥料分を補う目的で普及したよう。

その後の研究で栽培種ではなく雑草種でもあまり差異が見られないということから雑草の草生栽培の研究もされるようになってきています。

草生栽培は当初リンゴ栽培地帯で牧草から始まったが、暖地のカンキツ栽培地帯にそのまま応用しようとしてもリンゴ栽培地帯で使われていた寒地型の牧草では夏場に牧草の生育が衰え雑草が入り込み雑草草生化します。

雑草を用いた草生栽培のメリットは刈り取り回数を調整することで種の購入や播種作業などが必要なくいつでも始められることがあげられます。

そこでカンキツ栽培地帯での草生栽培は雑草を用いたものが徐々に広がりました。

この雑草種を使った草生栽培は刈り取り回数が肝で、地域や条件によって異なる点があるものの草刈りの回数が少ないと一般的に強害雑草が増える傾向になるようです。

カンキツ栽培地帯での草生栽培といえばナギナタガヤをよく聞きますが、これは1998年に愛媛県の中島町岡野さんのミカン園でナギナタガヤを利用した草生栽培が日本農業新聞で取り上げられ脚光を浴びたことが大きいようです。

このナギナタガヤもアメリカからの輸入主枝と在来種では枯れるのに半月ほど差があり抑草効果についても差が認められたとか。

青森のリンゴ園から始まった草生栽培ですが使われる草種は時代や場所と共に少しずつ変わってきているようです。

1 comment on “草生栽培の歴史”

  1. Pingback: 草生栽培の極みマルヨ農園さんにいってきた – 株式会社ファームプロ

Comments are closed.