国際植物防疫条約(IPPC)って何?!

農水省のHPには以下のように紹介されている。

国際植物防疫条約(International Plant Protection Convention)とは植物に有害な病害虫が侵入・まん延することを防止するために、加盟国が講じる植物検疫措置の調和を図ることを目的としています。

1952年4月に発効し、185の国と地域が加盟しています(2025年4月現在、我が国は原加盟国)。事務局はFAOに設置され、植物検疫措置に関する国際基準(ISPM)の策定、技術協力の実施、病害虫に関する情報交換等を行っています。

日本ももちろん加盟しているが、雑草管理を視点に考えると、残念ながら日本にありがちな「よくわからないけど国際社会の流れだから加入しておこう」と考えて加盟したのではないか?と勘繰りたくなる。

引用で紹介した通り「有害な病害虫が侵入・まん延することを防止するために」の部分は問題ないが、IPPCのいう検疫害虫(PEST)は植物に害を与える生物となっている。

ここで日本と海外の違いがでてくる。

海外は雑草を取り締まる法律がある。

例えばアメリカでは州ごとに異なるが「Nebraska Noxious Weed Control Act(ネブラスカ州)」イギリスでは「Weed Act」、カナダ「Weed Control Act」豪州「Catchment and Land Protection Act(ビクトリア州)」等、特定雑草を放置することは反社会的行為であり刑事罰等が科せられるケースもよくある。

例えばイギリスで日本ではそこら中に生えているイタドリを放置したという理由で企業が訴えられ敗訴し、200万円もの損害賠償を支払ったニュースなどはよく知られている。

海外の雑草事情

このように海外では雑草も明確にPESTとして指定し、それを取り締まる法律があるにも関わらず日本には法律がない。

PESTとして指定していない為日本ではあらゆる雑草種に対しても持ち込まれるのも、持ち出すのも日本の法律上は問題がないことになる。

IPPC的にはどうかというと、国内で定められた法律に従い適切に管理できている(そもそも雑草法がないのでこういった表現が適切かわからないが)ので問題ない、となる。

これ国際条約だから、たとえばイギリスで問題になった「イタドリは管理雑草にいれましょう、あ、日本はたくさん生えていますね!イタドリ汚染国です、改善されるまでは輸出は規制してください」とならないのかと思ったが、おそらくならない。

PESTとして何を指定するのかは各国にゆだねられていて、その国の法律に従って適切に管理できていれば問題ないのだ。

ある国では普通に生えている在来植物が、環境が変わって外国に入ったら気候風土の違いで異常繁殖し要注意植物になることもあるのでIPPCが特定植物があるからと汚染国指定するのは考えにくい。

IPPCも雑草以外の生物に関しては日本でも正常に機能している(と思いたい)が、こと雑草に関しては法律がないことから機能しているとはいえない。

そういった背景があるから、雑草種子が混入していたとして輸出が差し止めになるケースが出てくる。

北米向け工業製品に付着する雑草種子について(植物防疫所HP)

日本に雑草を取り締まる法律はない、だから雑草は野放しになっている。

世界は雑草を取り締まる法律があるので非関税障壁としても機能でき、日本から製品を輸出する者は法律を定めなかった国のせいで汚れ(目に見えない雑草種子なども含)にまみれた製品を独自で検査し輸出しないといけないという無駄なコストが企業側に発生している。

もし法律が定められ、雑草が適切に管理されている環境であればそんなコストは発生しないはずにも関わらず、だ。

雑草があることが当たり前でみどりのリテラシーが低い国だからそこに疑問を抱く国民が少ないことが最大の問題ではあるが・・

1 comment on “国際植物防疫条約(IPPC)って何?!”

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