天敵のコマユバチはどうやって食害する害虫を発見するのか?天敵の定着方法は?

野菜などを食害する虫たちを食べる昆虫を天敵昆虫といい、天敵生物を大量に増殖させて製剤化したものが販売されている。

最近は薬剤抵抗性の発達や環境への影響が問題となりこの天敵を利用した栽培も注目を浴び始めている。

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今回紹介するコマユバチはコナガなどの害虫に卵を産み付け、寄生されたコナガが大きくなると体内を食べられその死骸からコマユバチはできてマユを作り成虫になる天敵昆虫だ。

コナガの幼虫は葉の裏や茎の隙間などに隠れているがどうやってコマユバチが探しているのかというと、コナガが葉を食べたことで作物から放出される「におい」を元にコナガがついている株を見分け、葉に残った食害痕やフンなどを頼りにコナガにたどり着き卵を産み付ける。

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こうして考えると、食害された時に発せられる成分は動けない植物のSOS信号で、それにつられて子孫を残した天敵昆虫がやってくる、仕組みとして本当にうまくできているし進化で得てきた形質の一つだろう。

コマユバチについては体の大きさも3mmほどとかなり小さいため餌場がないと数日で死んでしまう、そのため定着してもらうためには栄養源を畑に用意する必要がある。

寄主を探すのはにおいから、だったが、餌場については花の色(特に黄色に反応するようだ)においを頼りに集まる。

このことから畑、それも栽培作物の近くに開花植物があると餌が得やすくなり、寄主も近くにいる(いないことが望ましいが)ことから畑に定着を促すことができるかもしれない。

コマユバチの行動としては生物として当たり前ではあるが、空腹時は餌を探しに、満腹時に寄主探しに出るため、天敵製剤を購入して畑にまいても餌場を用意してなければ畑の外に出てしまう可能性があるので要注意だ。