野菜の固定種って何?

野菜を栽培している人であれば「固定種」って単語を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

固定種とは花を咲かせ、種をならせ、その種を採取して種まきして育てても同じような形、性質の野菜が育つものをいいます。

少しだけ専門的な言い方をすると

固定種とは親世代の形質が子世代、孫世代にも変わらず固定されて引き継がれる品種です。

そんなの当たり前じゃないか、ナスから種をとってまいてもナスはなるじゃないか、と思う人がいるかもしれません。

大事なのは「同じような形・性質」のものが次の世代でできるかどうか?ということです。

同じ形、例えば固定種でなければナスの長さが子世代で変わってしまうこともあります。

性質、これは病気になりやすい、なりにくいなどぱっと見ではわからないものも含みます。

固定種を栽培するということは親世代と同じものが育つことが期待されるため、計画を立てやすくなります(どんな形の野菜が育ち、ある病気に強い、弱いが事前にわかる)。

農産物を育て販売する農家たちにとって自然とえらばれ残ってきたものが固定種になったと思われます。


どちらも固定種、在来種と育成種

固定種も大きく分けると在来種と育成種があります。

在来種とはその地域に文化的、気候的にマッチして残ってきた固定種をいいます。

今ほど流通が発達していなかった昔は遠くから野菜を運んで食べるということはほとんどされていませんでした(傷まず運ぶこと自体が困難)。

そこでその地域の気候にあうことはもちろん、食文化に即した野菜が残っていきます。

雪などで冬期に栽培できない地域には保存に適した漬物用の品種が固定種として多いのもそういったものが理由でしょう。

もう一つ、育成種。

育成種とは意図的に作られた固定種のことをいいます。

個人や団体などが何年何十年も繰り返し目的に沿った形質のものを選抜、種取りをし続けた結果固定種となったものです。

例えば、ニンジンで色や形がきれい、長さも調理に適したサイズが良いということでそういった固体の種を長年取り続け、ついに子世代孫世代にも同じ形質のニンジンがとれるようになったもの。

これが育成種です。

そう、育成種は莫大な時間と労力がかかるということが農産物を栽培されたことがある方であれば容易に想像がつくはずです。

つまり、固定種は種取りしても同じ形質のものがとれるので、一回買えば種取りできるし次から買わなくていいや、と考えるのはちょっと待ってください。

それでは育成してくれた方の莫大な労力をないがしろにしてしまいます。

皆がそういった考えでは優れた品種が育成できなくなりますので当然そういった育成された品種は保護されており、目的や用途に応じて種取りが禁止されているものも固定種にはあります

それはPVP品種というもので種袋や販売サイトに必ず記載があります。

固定種だから種取りして作って売っても大丈夫!と思っている方は必ず種袋や購入元に確認してくださいね。