植物は動物と違って動くことができないので外敵から身を守るのに逃げることができません。
そこで外敵が嫌がる物質を出したり、トゲを身につけることで自らを守ります。
グリーンモンスターと言われるクズに打ち勝つ、その名はカナムグラ
外敵が嫌がる物質ということで天然の殺虫成分を作り出しているアブラナ科を以前紹介しました。
アブラナ科植物と昆虫の戦いと進化、コンパニオンプランツとしてのアブラナ科
この中でアブラナ科が作るカラシ成分をたくさん蓄えたアオムシは天敵に捕食されにくくなると紹介しましたが実際どうなのかなと思って調べてみたところ試験された方がいらっしゃいました。
その試験ではモンシロチョウの天敵、アオムシコマユバチに寄生具合をみたものでした。
どうやって比較したのかというとグルコシノレートを含まない人工飼料を作成し、その飼料を与えたものと野生の幼虫とを比較したものです。
人工飼料の方が9回、野生の方が4回寄生され、グルコシノレートを蓄積していない人工飼料で飼育した幼虫を選択する傾向が見られたとあります。
この実験でもう一つ興味深かったものがあって、それは品種によりグルコシノレートの含有量に差があるのですが、耐病総太り・アブラナ・桜島大根の葉を20時間餌を与えなかったアオムシに与えどの種類の葉を選択するか調べてありました。
結果はグルコシノレート濃度が低いものを好んで選択した結果がありました。
成虫が次世代を活かすためにアブラナ科に卵を産み付けるが、孵化したアオムシたちは食べれないわけではないけど身を守るために食べる、って感じでしょうか。
アオムシコマユバチについてさらに調べてみると、アオムシコマユバチはモンシロチョウの子供であるアオムシを選択して卵を産み付けるのですが、その探す方法がアオムシが食べた痕からでるアブラナ科の汁とアオムシの唾液が反応した特有の臭いでアオムシを探し出しているのだそうです。