数ある雑草管理ツールの中で唯一選択的に雑草を処理することができる便利な除草剤。
しかしそんな除草剤も繰り返し使用していくと雑草も生き物、薬剤に対応して効きにくく、もしくは効かなくなることも。
今回は除草剤抵抗性について紹介。
除草剤で雑草が枯れる仕組み
除草剤の種類も非常に多岐に渡るのでその仕組みのうちの一つについてご紹介。
高校生物で酵素基質特異性を習った人はこちらの図がわかりやすいかも?
除草剤の効き方の一つは、このように植物が欲しがる化合物ときわめて似た化合物を与え、本来植物体内で生成されるはずだった物質を作らせないようにしてしまうというもの。
除草剤抵抗性:雑草の生存戦略
除草剤が効かなくなった、と一言にいっても雑草側の除草剤への対抗策は色々あってそのうちいくつかをご紹介。
①除草剤と反応する相手を増やした(上図でいうと黄色のたんぱく質の数をかなり増やす)、こうすることで上図で言えば黄色の物質が大量にあることで除草剤は効いているのだけども正常な反応も同時におこせるくらい余裕がある。
②葉の表面などのワックスを強化、表面から吸収しにくくなる。これも雑草体内に入りにくくなったというだけで入ってしまえばやはり効くので、見た目上は効きにくくなった感じになる。
③液胞というゴミ箱に入れてしまう。細胞内には液胞という場所があり、老廃物の貯蔵、不要物の分解などを担っている箇所がある。そこに除草剤を放り込むことで無効化してしまう。
④除草剤の成分自体を変化させてしまう。除草剤の有効成分を認識し、そのタンパク質の形を変化させ雑草にとって無害化させる。
こういった反応を見ると雑草も生き物だと感じるが、特に③と④については植物にとって必要なたんぱくと似た物質を選んで除草剤として使用しているにも関わらずそれを認識し、対処している辺りはなかなかにすごい。
④については特定除草剤だけが効きにくくなるというのではなく、他の剤も同時に効きにくくなってしまうケースがよくあるとのことで非常に厄介な抵抗性のようだ。