畦畔管理の行く末を考える

25年9月29日の日本農業新聞web版の論説に「どうする畦畔の草刈り 専門組織の育成を急げ」というタイトルで掲載がされてあった畦畔の雑草管理。

日本農業新聞社2025年9月29日論説

いずれ見れなくなってしまうと思いますので、チャットGPTに要約してもらうと以下のような内容だった。

記録的猛暑で畦畔(けいはん)の草刈りが農家の大きな負担となっており、特に中山間地域では労力・コスト・危険性が高い。
病害虫や獣害防止のため省けない作業だが、人手不足で管理が限界に達している。

農水省は畦畔除去や大区画化を支援する新規事業(31億円)を計画しているが、施工を農業者自ら行う条件が課題となっている。急傾斜地では工事が大規模かつ高額で現実的でない。

そのため、ロボット草刈り機などの機械導入や、安全性を確保した上でシルバー人材・農福連携の活用、さらに畦畔管理を専門で請け負う組織の育成が求められている。

畦畔率が高い中国・四国地方では、10年後に耕作者を確保できない農地が半数を超える見通しで、畦畔管理が農業存続の鍵を握る。負担軽減が実現すれば規模拡大に意欲を持つ担い手も増えると期待され、国の率先した対策が必要とされている。

原文中に「畦畔管理に特化した専門組織の育成や資機材の導入、安全対策など総合的に支援すべき(原文まま)」とある。

畦畔管理に特化した専門組織、の専門が何を意味するのか?単なる高性能な機械を安全に操作するのに長けた作業者集団という意味なら全くの無駄だと考える。

なぜなら場当たり的な作業は雑草問題を年々助長してしまうからだ。

雑草問題を解決するには?

草刈りという作業は基本的に伸びてから刈るという性質上掃除的管理になりがちで、本当に刈取りで雑草を「管理」するのであれば、刈取り前後でしっかりと雑草自体を観察する必要が出てくる。

奥出雲ではその地で暮らす人々の生活習慣の中に草刈りが入っており、刈取り頻度が高まった結果良好な景観を維持できているがかなり特殊な例だろう。

奥出雲田植え前の風景

奥出雲の風景は変わったか?!

畦畔に限らずではあるが、雑草管理でこれから本当に必要なことは「雑草とどのように付き合うか地域の人間が考える」ことで、国や専門機関に求められるのは温暖化による雑草の強害化、これまで慣習として続けてきた手法を繰り返すことでどのような雑草害が起きるかの提示だと考える。

雑草は分野を横断して等しく地域に住む人に害をもたらす、国や専門機関が本当にやらないといけないことは地域住民とのリスクコミュニケーションである。

刈取りは未だに致命的な事故が起き得る危険な作業で、雑草も強害化する。

クズの恐るべき侵略性

除草剤はいわれているほどの薬害はないが、やはりゼロではない。

便利なツールはそれぞれリスクがあるが、雑草をこのままにすることも、毎度同じ管理方法で場当たり対処することもリスクがある。

これらのリスクを天秤にかけて道を示してあげることこそが専門機関がやるべきだが、そんな専門機関など聞いたこともない。

あえてあげるとすれば雑草インストラクターを輩出しているNPO法人緑地雑草科学研究所くらいではないだろうか。

雑草インストラクターとは

今本当に必要とされることは便利な雑草管理作業ツールを開発することでも、使うことでもない。

地域住民とリスクコミュニケーションを行い、方針を示してあげることこそが必要と考える。