先月今シーズン初の国内鳥インフルエンザの発生が確認されました。
昨年は猛威をふるった鳥インフルエンザ。
コロナウイルスでウイルスに対して敏感になっていたからか、卵の値上がりだったり、売り場から消えてしまったりで多くの人が影響を受けた鳥インフルエンザについて科学的根拠も乏しい話があちこちでシェアされて現場の人たちが非常に苦労をされていました。
そこで福岡の養鶏農家の方が鳥インフルエンザについて情報をシェアするときに考えてほしいこと、としてお願いをアップされていましたので共有いたします。
以下転載になります。
【トリインフルエンザの情報を取り扱う一般消費者の方へのお願い】
また今冬シーズンも高病原性トリインフルエンザが養鶏場で発生しました。
昨シーズン、消費者の方が意識するほどトリインフルエンザの大流行が起きました。
およそ1700万羽以上の家禽が殺処分され、鶏卵の高騰や原料不足による加工品の製造停止など、養鶏業者に限らず関連業者や関連業界にも多大なダメージがありました。
トリインフルエンザは病気ですが、これは天災みたいなものだと認識しています。台風や豪雨は来ることがわかって備えていても、人間が想定する以上の被害が出ます。
トリインフルエンザは感染経路が未だ確定していないため、天災と言えると思っています。昨シーズン発生した農場は、その地域で衛生対策の見本になるような農場も多く、決して防疫対策をおろそかにしていた農場はなかったと思います。
昨シーズンの発生で、経営の方向転換をする養鶏場も多くあったと聞いています。事業復帰をするにしても、同じやり方ができない、方針の話し合いがうまく進まないなど、二次被害のようにトリインフルエンザの影響は根深く残ってしまいました。
さて、養鶏農家は上記のように恐ろしいトリインフルエンザに対して、発生前にできること、発生してしまった場合にすること、事業復帰のために行うこと、これらを想定して日々の業務にあたっています。
しかし、この時に困るのは
『間違った情報の流布』『あいまいな情報の流布』『陰謀論と結び付けた論じるに値しない情報の拡散』
です。
昨シーズン、あれだけ発生があったので一般消費者の方にも「トリインフルエンザが発生すると食卓にこれだけの影響がでるのか」と、初めて具体的に認識をすることができたと思います。
しかし、未だX(旧Twitter)などでは誤った認識の情報をポストする方も多々見受けられます。
私は毎年このニュースが入るたびにこの投稿をしています。冬の風物詩になりつつあります。
しかし、養鶏農家側から世間に目を向けると、知らない業界(=養鶏を知らなくても卵や鶏肉を食べられる世界)だからこそ、憶測が飛び交っているように感じます。もちろんそれは悪いことではないと思っています。
私がいつも言うことは「自分の言葉で説明できないなら発信しない」「[~らしいよ。][~ですって。]という情報は自分の中だけに留めておく」です。
あなたがシェアした情報の真偽は、たぶん理解できないと思います。なぜなら全然知らない世界の話なので。
私は、その情報の勉強をしろとまでは一般消費者へ言いません。人生の中で時間は有限なので、その情報を100%理解するために費やす時間は非常に膨大になってしまうからです。
なので、もし知らない情報を目のあたりにしたら『拡散しない』という選択肢も立派な判断です。むやみに拡散しないことで、被害者を減らすことができるのです。
こういうことを言うと「表現の自由の侵害だ」「言論統制だ」などと言う人もいますが、間違った情報で人々を間違った方向へ促すことは、簡単に言えば詐欺だと思います。
ただ、すべてこっちの言う通りにしろ!と言うつもりはありません。自ら情報を得る行動も素晴らしいことです。しかし、情報を得ようと努力をした人ほど「あぁ、この情報は簡単に拡散してはいけないな」「この情報の伝え方によっては混乱が起きるな」と気づけるのです。
今シーズンのトリインフルエンザの流行も、おそらく多大な影響を与えてくると思います。こんなことを書いていますが、緑の農園にもトリインフルエンザが入る可能性はあるので油断はできませんし、スタッフ一丸となって防疫対策に当たっています。
普段はしないネガティブチックな投稿になってしまいましたが、一養鶏農家からのお願いでした。
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