世界中でグリーンモンスターと言われるクズ。
薬剤は体に有害だという非科学的な根拠に基づくイメージから日本では敬遠されているので、公共緑地をはじめとした多くの雑草管理の場面で日本では刈取り除草が行われています。
刈取りは体力勝負で草が死ぬかヒトが死ぬか、の勢いでやれれば、ヒトが死ななければどんな草でも御せることはできるでしょうが、ヒトが死んだあと、土と太陽、空気があれば草は生えてきます。
もちろん土も太陽も空気もいずれかがなければヒトは生きていけませんので雑草と体力勝負になった時点で負け確です。
それでも刈取りで雑草管理ができているじゃないか、と思う方もいるかもしれませんが、そこに生えている「雑草の種類による」です。
今回ご相談いただいた「クズ」ですが、刈取り管理は相性が最悪です。
刈り取れば刈り取るほど翌年増えます。
グリーンモンスターと言われる圧倒的強者感のあるクズですが、実は種子繁殖は苦手です。
どうやって増えるかというと栄養繁殖です。
具体的には茎などの断片から増えます。
刈り取るとどうなるでしょうか?茎が飛び散りそこら中に広がりますね。
クズは日本では古来よりでんぷん源、繊維、薬、飼料と幅広く使われてきました。
栽培技術が乏しい昔からです。
それだけ日本の環境はクズの生育に適しているのですが、そんなところで定期的に刈取りを行い、クズの断片をまき散らせばどうなるか想像に難くないですね。
クズを増やしたいのでなければ刈取りは即刻辞めた方がいいでしょう。
多くの方が勘違いをしていますが、刈取り作業は草を若返らせる行為です。
何を言ってるんだ?と思うかもしれませんが、植物の生育に関係したことがある方は「摘心」や「更新剪定」を思い出してください。
先端をカットすることでわき芽の生長が促され、新しい芽が吹き若返ります。
刈取りは除草剤などと異なり、作業後すぐにきれいになるのでクレームがきてから行う作業としては顧客満足度の高い作業かもしれませんが、クズからすれば次年度より個体数が増える嬉しい措置になるのです。
今回ご相談いただいた方も毎年刈取りを二回程度実施していたということでしたが、典型的なクズが増える管理です。
雑草管理で大事なこと
クレームがついてから作業をする場当たり的なものは雑草管理とは言いません。
多くの方が草を刈る、薬剤を散布する、防草シートを張る、という単体の「作業」だけを管理と考えています。
雑草を管理するという言葉の通りまずは目的を設定します。
何をどうしたいのかを決める。
このまま放置すればどうなる?何らかの作業をすればどうなる?かを考える。
このまま放置した時のコスト・リスク。作業した場合のコスト・リスク。
これらを考え予算を決める。
それをもってツールを選定し、作業は最後です。
クレームがついて、とにかく作業しなければ、というのはプロセスを全てすっ飛ばしていますし、最初から草刈りしか考えていない方が多いように思います。
雑草管理の伴走支援をします
私たち雑草インストラクターは何かいい薬ない?この雑草をなくしたいんだけど。という相談に直接お答えすることは基本的に行いません。
なぜなら問題が解決しないからです。
私たちがこの〇〇がいいよ、とクライアントに勧めればクライアントはその方法を繰り返し使うことがほとんどです。
雑草は適応進化する生き物ですので、連続して同じ手法をとればそれに対応した雑草が残り増えていき、また新たに別の問題が発生することになります。
大事なのは雑草と向き合い、なぜ問題になっているのか、なぜ増えたのか、何が困るのか、それらを意識し、ではどうすればいいのか?を考える経営と同じでPDCAサイクルを回すことが重要です。
私たちはその目的の設定をどうすればいいのか、ツールの選び方はどうすればいいのか、そういったことを相談にのって最適な管理はどうたてていけばいいのかをお手伝いすることが業務となります。
雑草はなくなりませんが、しっかり目的を意識し、振り返りを行い継続して雑草と向き合うことで雑草問題を解決することはできます。