経験と勘とデータ

煎茶として値段がつかない三番茶を紅茶にする加工を弊社でお手伝いしています。

煎茶と異なり収穫後に発酵過程が入る紅茶の製造。

茶葉に含まれる酵素が茶葉の中にあるたんぱく質を分解する性質を利用して加工していきます。

酵素とは高校生物で出てきますが・・・

化学反応を促進して反応速度を速めるが、自分自身は変化を受けない物質(触媒)で、生体内ではたらくたんぱく質でできた生体触媒を酵素という。

(チャート式シリーズ新課程新生物生物基礎・生物より)

また酵素には最適温度があり、下図の通りある一定までは温度と共に反応速度が増加し、ある温度を境にそれ以上温度が高くなると急激に反応速度が下がります。

最適温度は多くの酵素は40℃と高校生物では紹介されています。

最適pHというものもありますが、紅茶の製造とは今のところ関係ないので割愛します。

紅茶の製造もこの酵素を使うため40℃を一つの目安にします。

さらに酵素の動きを活発にするため湿潤環境を適正に整えてあげる必要があります。

デンプンのりに唾液を加えれば分解してさらさらになりますが、そこに水気がないと反応速度が落ちるというのは想像がつくと思います。

詳しいノウハウをここに紹介することはしませんが、気温と湿度が紅茶の製造において非常に重要となってきます。

気温と湿度が重要だということは紅茶を製造したことがある人は経験上わかるかと思いますが、それがどの程度必要なのか?

最適温度は何度なのか?そもそも最適温度で反応させた方がいい紅茶ができるのか?

この辺りを説明できる人は現在ほぼいないといっても過言ではないと思います。

経験から得られた情報を計測して数字に落とし込んでいくことでより最適な解が見つかるかもしれません。

今までの方法が正しかった、もしくは改善する余地があったと気づかせてくれるきっかけになります。

熟練技術者に追いつくということは経験という軸だけで考えれば追いつくことはできませんが、そこにデータも合わせ、より最適な解を探っていくことで成果物の質はよくなっていきます。

事実この3年紅茶を製造していますが、熟練技術者のアドバイスの元データ化してきたところ数字から裏打ちされるものも多く出てきました。

 

データもただ数字で追ってその通りに製造したとしても質のいいものはできません。

毎年環境が変わるため、数字の見方もかわってきます。

基礎的な知識があって初めてデータも活きてきます。

私は農家は儲からない、勉強ができなかったら農家にならないかんから、勉強して会社にいって勤めに出なさいと言われてきましたが、農業こそ勉強し(実際に高校生物化学が超大事!!)知識をつけることで儲かる農業にしていくことができます。